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保育士不足の現状と原因

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「保育園落ちた 日本死ね」に端を発した待機児童問題。これまでも問題視されていましたが、メディアが取り上げる事で改めて関心がもたれるようになりました。国としても待機児童解消に向けて色々な政策を講じたり、それに向けた財源確保、予算取りなど力を入れて取り組んでいます。

ただ、即効的に問題が解決出来るとは言い難く、そこには様々な問題・課題があります。特に保育士不足は相当深刻な問題になっています。今回は保育士不足の現状とその現認についてお伝えします。

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保育士不足の現状

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まず、一重に待機児童問題と言ってもあくまで日本全体での話です。その状況は地域によって変わります。待機児童が多いのは都市部がほとんどで、待機児童がいない地域もかなりあります。

これに比例して保育士不足の問題も待機児童が多い地域に集中しており、保育士が充足している都道府県は全国で約半数以上を占めています。全国で最も保育士不足が深刻な地域は東京都です。

東京都における有効求人倍率は5倍を超えています。つまり、例えば10人保育士が欲しいと事業所が応募・求人を出しても、採用に至るのは2人いないという状況です。これでは待機児童問題は解消されません。

以下の状況は、ある政令指定都市の状況です。この地域も非常に待機児童が多い地域です。市の政策としても待機児童解消に向けて積極的です。主な解決方法としては受け皿を増やす、つまりハコモノを建てる事で解消を目指しています。

ここ2,3年で定員100規模の保育所・認定こども園が20園以上出来ています。単純に考えれば子どもを受け入れる場所が多くなれば待機児童は減ります。市の計画では待機児童はいなくなる予定です。

しかし、ここに保育士不足の問題がとても重くのしかかります。1つの保育園が新しく新設されればそこで働く保育士は定員100人規模で20人以上必要です。20園出来れば400人必要です。既存の保育園にも新しい職員の採用もありますので、各園2人欲しいとしても50園で100人です。

合わせると3年で大体その地域で新規の保育士は700人~800人必要です。これに対し、地元の短大などのその地域の保育士養成校を卒業し、尚且つ就職先を保育園等に検討している生徒さんは年間200人以下です。3年で多くて500人です。以上のデータからもこの地域では保育士が全く足りていない事が分かります。

したがってこの地域の新規保育園等は開所しても50%~60%の子どもしか預かる事が出来ません。また既存の施設も子どもを受け入れる能力がありながらも、そこで働く職員がいない為、受け入れられないという状態が続いています。

結果、3年での待機児童解消の成果はあまり芳しくない結果となっています。この地域においても待機児童の改善計画が思うように進まない大きな要素は保育士不足であるといえます。

なぜ保育士は足らないの?

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待機児童問題地域における保育士不足はなぜ起こるのでしょうか?いくつか要因がありますが、1つには「なり手」が少なくなっている事が挙げられます。待機児童問題をメディアが取り上げる際に、同時に保育士不足も報道されました。その中で「保育士は給与が安い」という報道も大きく取り上げられました。

その結果として「保育士の給与は安い」事が周知・マイナスイメージ化されてしまった事もあると思います。また、保育士の資格を持ちながら、保育士の仕事をしていないいわゆる「潜在保育士」の掘り起こしがうまくいっていない事も要因の1つです。

約70万人いると言われる潜在保育士ですが、元々保育士や幼稚園で働いていて、結婚・出産を機に一度仕事を辞め、その後再び仕事をする際に保育士の資格を必要としない仕事に就いている方が多いと思われます。

その背景にはやはり保育士の仕事のハードさと仕事量に対する対価である給与が安い事が挙げられます。国も潜在保育士を掘り起こすために貸付金制度を作り、貸した金額は保育施設である期間働くと返済免除となる制度を作っています。

あまり浸透していないのか、効果があまりないのか分かりませんが、目に見えた解決には至っていません。

まとめ

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保育士不足は劇的に変わるものではないと思います。国が、行政が、各施設がそれぞれ手を取り合い、給与面のさらなる向上などの処遇面や働きやすい、または現場レベルでの魅力的でやりがいある職場環境にするなど一体的に変えていかないと効果は薄いと思います。

人間の基礎的な部分、その礎の形成に携われる事は他の仕事には無いとても魅力的でよい仕事だと思います。次世代を担う子どもたちの為に保育士不足が解消されることを願っています。

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