子供が悪さをする、子供がいうことを聞かない、子供が口答えばかりする…。子供がいたら毎日のようにこんなことにお悩みかもしれません。そんな時にどのようにしつけをしていますか?
よく、「七割ほめて三割叱る」という言葉を聞きますね。しかし、どのようにほめて、どう叱ればいいのでしょう?子育ては親自身もわからないことだらけですよね。「ほめる」ことと「叱る」こと、それに伴う注意点を考えていきましょう。
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「怒る」と「叱る」の違いについて
まずは、「怒る」と「叱る」の違いについてです。よく混同されがちなこの2つですが、実は大きな違いがあるのです。
「怒る」とは自分の怒りの感情を露わにして、怒鳴るなどして憤慨し、子供にぶつけ、相手を傷つける行為。「叱る」とは理性をもって「いけないこと」を「教える」という意味。つまりこれが「しつけ」です。感情的になってしまってはいけません。なぜでしょう?感情がある方が子供の心に響きそうですよね?
そもそも、子供は大人に比べて言葉が拙いです。そして、小さな子供にとって大人は体も存在も、とても大きなものです。その大きな大人に怒鳴りつけられることが日常化するとどんなことがおこるのでしょうか。
子供が大人に一方的に怒られている時に、子供が弁解しようとしても子供は気持ちをうまく言葉に出来ません。そこへ怒鳴りつけていては、「自分の気持ちをくんでくれない、理解しようとしてくれない」と感じ、心を閉ざしてしまいます。このような粗雑な態度で接し続けると、子供との信頼関係が築けなくなる可能性があります。
そして何より怒鳴られて育つと子供の精神と脳に問題が生じるのです。どのような問題が生じるのでしょうか?
脳が萎縮する
子供を怒鳴って育てると脳萎縮をしてしまいます。脳が萎縮する、つまり脳が小さくなってしうということです。さらに脳細胞が減少してしまうことも研究の結果明らかになっています。子供のうちは大人が絶対的な存在であると感じています。その大きな存在の親に怒鳴られることは大変なストレスなのです。
ストレスを受けてしまうことによって副腎皮質からコルチゾールという糖質コルチコイド、電解質コルチコイドなどの抗ストレスホルモンが分泌されます。これは自らをストレスから守るためです。
ですが、長期に渡るストレスにより、抗ストレスホルモンが多く分泌されると脳を修復する役割のBDNF(脳由来神経栄養因子という蛋白質)が不足してしまいます。その結果、ダメージを受けた脳が修復されなくなってしまい、大脳辺縁系の海馬が縮んでいくのです。
海馬は記憶や情報をコントロールする際に使われる部分なのでここが萎縮するということは、考える力や記憶力が衰えます。つまり学力の低下を引き起こしてしまうのです。さらに脳の萎縮は性格異常や精神疾患、うつ病などをおこす原因ともいわれ、将来的にも認知症になりやすいことがわかっています。
そして残念なことに萎縮した脳は元には戻せないのです。大事な子供を守ってあげるべき大人がしつけをしているつもりで子供の精神や脳にダメージを与えてしまっては本末転倒ですよね。子供を感情的に怒って怒鳴るなどせず、理性的に接するのが大事です。
しつけと自己肯定感
次に、自己肯定感というものを理解した上でしつけの仕方を考えていきましょう。自己肯定感とは、自分が自分を認めること、自分自身を否定しないこと、つまり自分自身のいい所も悪いところも認めることの出来る感覚のことです。
自己肯定感が低いとどうなるの?
自分を誇れず、過小評価をしてしまいます。そして劣等感を抱きやすくなります。失敗が怖く、物事にチャレンジすることに及び腰になってしまいます。そして精神的な孤立をしてしまいまいます。「自分なんてどうせ努力しても駄目だ」と根底にあるせいです。
自己肯定感が高いとどう育つの?
自分自身に自身があり、物事に挑戦する意思がうまれます。心に余裕が有り、対人関係にも前向きになれます。素直に喜ぶことが出来、努力を続けることが出来る。人にも親切になれ、情緒が安定しており、親を信頼することができます。
幸せな人生を歩むには、この自己肯定感がとても大事なものなのです。それでは、子供をどのように育てれば自己肯定感のある人間になるのでしょうか。
ほめてのばそう
しばしば「ほめてのばす」という言葉も耳にします。もちろんほめられるポイントがあればどんどんほめましょう。ほめられると自信がつく上、「やる気ホルモン」や「快楽ホルモン」と呼ばれるドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。これは達成感を得た時、幸福感を得た時に分泌されるもので、やる気、集中力をアップさせ、精神を安定させる効果まであります。
たくさんほめてあげたいですね。でもほめるといってもどのようにほめればよいのでしょうか。例えば「絵が上手だね」だけよりも「上手に色がつくれたね」「細かいところまでよく塗れてるね」など具体的にほめるのがいいです。そして時間がたってからほめるよりもその場ですぐほめるのがベター。
子供が何かを成功した場合でしたらほめるのは容易ですね。けれど、ここには落とし穴があるのです。成功した時だけほめていると、子供は「成功してない自分」を価値の無いものだと思うようになる場合があるのです。ですから日頃から結果だけではなく、その過程を認めてあげると良いでしょう。
つまり、「100点とれてすごいね!」とほめるばかりではなく、「うわぁ!丁寧な字で書けたね」「テスト勉強がんばったんだね」といった風にです。努力や過程に目をむけ、それを口に出すのが望ましいです。ほめるのはたしかに大事です。しかし、心にもないことを言っても子供にはばれてしまうものです。とってつけたように上っ面だけの心ない状態でほめるのはおすすめしません。本当の気持ちでほめるのが大事です。
ほめるのになれてない場合、普段の何気ないちょっとしたことでも肯定してあげるといいですよ。そして、大事なことをもう一つ。普段子供に「ありがとう」と言っていますか?なにげない時に、些細なことでも子供が何かしてくれる度「ありがとう」と声をかけるのは自己肯定感の為にとても良いのです。それは「ありがとう」というお礼は相手の行動への肯定だからです。
子供に絶対やってはいけない叱り方
一番いけないのは子供自身の人格を否定することです。「そんな悪い子ならいらない」「出て行きなさい」「産むんじゃなかった」などがこれです。どんなにイラつくことがあっても、どんなに子供が悪いことをしたとしてもこれだけは決して口にしてはいけません。
また、「○○ちゃんはあんなにいい子なのにあなたときたら…」「○○くんは賢いのにあなたは…」などと、他の子と比較するのも避けましょう。子供が自尊心を保てなくなってしまうからです。
ほめ方と叱り方
感情的に怒ると子供の脳や精神に悪影響がでます。もちろん親も人間ですから、カッとすることはあります。しかし、一呼吸おいて、自分の感情はひとまず封印して「怒らず」に「叱る」ように気をつけましょう。
ほめられると自分に自信がつき、やる気や集中力などが出てきます。ほめられそうなことはどんどんほめてあげましょう。もちろん些細なことでもかまいません。照れくさければ最初は”子供の努力や工程などを認めてげる”などからはじめてみましょう。
子供をちゃんとした人間に育てるためにはしつけは必要ですよね。しかし、叱り方次第では子供の人格形成に大きく関わってきます。叱るときもほめる時もそれを心に留めておくとより良い子育てが出来ることでしょう。
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