「アドラー心理学」というものを聞いたことはありますか?
心理学者であるアルフレッド・アドラーが創始した個人心理学というものなのですが、実は今、子育てにおいても役立つ思想であるとして注目を浴びているのです。
人は誰しも失敗をします。「過去」にどんなつらいことがあったとしても、「今」が幸せならば問題ない。重要なのは、幸せになることに伴う「勇気」であるとアドラーは唱えています。しかし、正直なところ、心理学といってもピンときませんし、子育てにどう役立つのかわかりませんよね。
そこで今回は、子育てに役立つアドラー心理学の知恵とおすすめ本を合わせて紹介していきたいと思います。
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目次
アドラー心理学って何?
簡単にいうと、「幸せになるためにはどうしたら良いか」を目的とした心理学です。
親が子どもに幸せになってほしいと願うのは当然ですよね。しかし、幼少期の接し方ひとつで、子どもの人格があらぬ方向へ向かってしまうことは少なくありません。親の影響は絶大ですから、誤った接し方を続けていれば、人格にも影響を与えてしまうのです。
大人になってから人格を変えることは難しいので、早い段階から子どもがやるべきことに集中し、自分で人生の意味づけができるようになる環境を与えてあげることが必要です。
では、子どもに対してどのような接し方をすれば良いのか、次の項目で見ていきましょう。
見守る
アドラー心理学では「課題の分離」という言葉で表現されていますが、要は、子どものしていることに口出しせず見守ることが大切だということです。
普段の生活のなかで、「勉強しなさい」「片付けなさい」とつい口にしてしまうことがあると思います。しかし、勉強するのも、片付けをするのも、どちらも子どもの課題ですよね。
勉強しなかったからテストの点数が悪かった、片付けをしなかったから部屋が散らかったままだった、これらの影響を受けるのは子ども本人です。つまりは、誰の課題なのかを考え、他者の課題に介入しないことがアドラー心理学の基本である「課題の分離」なのです。
とはいえ、放任しなさいと言っているわけではありません。子どもがヘルプを求めてきたときは、全力でサポートしてあげてください。見守りながらも放任しない、程よい距離感を保つ接し方が大切なのです。
褒めない&叱らない
アドラー心理学では、親と子どもは対等の関係であると考えます。
褒めることも叱ることも上下関係ありきのコミュニケーションですよね。そのため、子どもは褒められることに慣れてしまうと、褒められることを目的とした行動を取るようになります。そして褒めてくれない相手を敵だと思うようになってしまうのです。
ではどうすれば良いのか。答えは、「感謝の気持ちを伝えること」です。
「よくできたね」と褒めるのではありません。「ありがとう。助かったよ」と感謝の言葉を伝えることで、子どもは自ら進んで貢献を繰り返すようになります。
感謝される喜びを体験すればするほど、子どもは自分のしたことや自分の存在を肯定的に捉えられるようになります。これは、ただ褒めるだけでは得ることのできない自己肯定感を養うことにも繋がるのです。
「今」に集中する
アドラー心理学では、過去や未来よりも「現在」が重要だと考えます。
例えば、発表会で上手く演技ができなかった場合、大半の親は「この前は上手くできなかったけど、次はきっと成功するよ」という声掛けをしますよね。しかしアドラー心理学的には、これがNGなのです。
つまり、過去や未来のことを持ち出すのではなく、「今」が充実できるようにサポートするのが親の役目だと言われています。ですから、シンプルに「よし!やってみよう!」のひと言でOK。そうすることで、子どもは今やるべきことに集中できるのです。
おすすめ本
ここからは、アドラー心理学を元にした子育てに役立つおすすめ本を紹介していきます。基本的に根底にあるものは同じですが、それぞれ違った切り口から子育てをサポートしてくれるものとなっているので、自分に合った一冊を見つけてみてください。
「嫌われる勇気~自己啓発の源流「アドラー」の教え~
「アドラー心理学」という言葉を世に広めた人といっても過言ではない、哲学者、岸見一郎先生によるベストセラー作品です。アドラー心理学について非常にわかりやすく書いてあるので、初心者の方でもスムーズに読み進めることができるでしょう。
また、子育てだけでなく、対人関係や人生に悩んでいる方にもおすすめの自己啓発本です。
子育てのためのアドラー心理学入門―どうすれば子どもとよい関係を築けるのか
こちらも、「嫌われる勇気」の著者である岸見一郎先生の作品です。親と子の接し方や、著者の実体験など「子育て」により焦点を当てた内容となっているので、子育て中の方には特におすすめといえるでしょう。
子どもの「自信」と「やる気」をぐんぐん引き出す本
元小学校教師である著者、原田綾子先生が自身の子育てを通じて得た「勇気づけ」をベースとした育児法を本にしたものです。アドラー心理学の考えでもある「勇気づけ」は、子どものやる気や自信を導くために必要な要素のひとつでもあります。
なかなかやる気が出ない子どもへの具体的な対処法など、実体験を元に書かれているので非常に参考になり、共感もできる内容になっています。哲学的な内容が苦手という方には、ぜひ一度手に取っていただきたい一冊です。
あくまで参考程度に
いかがでしたか?
心理学と聞くと一見難しそうですが、普段の子育てスタイルを少し変えるだけで、実践できるものばかりでしたね。しかし、子どもとの接し方を、すべてアドラー心理学に基づいて行うことは、なかなか厳しいものがあると思います。ですから、参考程度に頭の片隅に置いておいてください。
もし、何か子育てに悩むことがあったら、アドラー心理学を思い出して実践してみましょう。その結果、子どもとの関係が良好になり、パパとママがハッピーになれば、それに越したことはありません。
まずは、アドラー心理学を知るところからはじめてみませんか?
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