ママが子育てに充てる時間が長くなりがちな日本の育児においては、仕事に生活の重きを置くパパとの考えや生活スタイルの相違が、夫婦関係をこじらす原因となっています。
巷でよく聞かれる「仕事と子育てどっちが大変か?」という迷題は、ママたちパパたちの心の叫びに他なりません。
そんなママパパの本音が垣間見れる子育てブログを通じて、子育ての大変さの原因や仕事と子育ての考え方の違いなどについて考えていきます。
スポンサードリンク
目次
ママさんブロガー達の子育て哲学
①子育て中の休憩と、仕事の昼休みの違い
専業主婦と兼業主婦を共に経験したママのブログによると、自分の時間が取りやすいのは「兼業主婦」とのこと(人によって、状況によって、もちろん感想は異なりますが)。
仕事中の休憩時間は、完全に自分の時間として使うことができます。しかし、専業主婦はその日の子どもの様子によって、自分の時間が持てたり持てなかったり、自分時間が確約されません。
「約束された休憩時間(自分のための時間)」があるという事実そのものが、精神的ストレスを解消してくれるようです。
一方、子育ての合間をぬって家事を進めているママの日常では、家での活動時間が1秒でも多く欲しい!というのがママの本音。
子どものタイミングによって突然発生する自分時間であっても、そのすべてを家で使うことができるのは、専業主婦の特権かもしれません。
ママたちの休憩時間の満足度は、偶然と必然のあいだでいつも揺れ動いているのです。
◆ 4歳・2歳・0歳のお子さんが3人。専業主婦ののちに仕事復帰し、現在はお子さん3人を保育園に預けて、8時半~17時半までのフルタイムで勤務しているママさんブログ。忙しい帰宅後の家事・育児タイムスケジュールについても勉強になります。
https://ikuji-cheer.com/kengyoumama-kitakugo/
『帰宅後2時間半で就寝。兼業ママのタイムスケジュール。』
②達成感不足とママの孤独感
ママたちは、子育ての何を大変だと思っているのか。それは“自分の意思とは無関係に自分のやろうとしていたこと、したかった行動を子どもに遮られること”であると、人気ママブロガーさんが言っています。
お風呂にゆっくり入る。座ってごはんを食べる。好きな時間にテレビを観る。そんな日常的なことでさえ、思いのままにできないママの生活では、自分の意思で行動できないフラストレーションが積み重なり、心の達成感不足を引き起こしています。
その達成感の欠如が「自分は何もできない」という無力感を生み出す。すると、自己実現して人生をエンジョイしている友人たちが羨ましく感じたりして、自分だけ取り残されたような孤独を感じるのです。
子どもとの生活は24時間365日。一日リフレッシュの時間をもらったからと言って、ストレスを解消できるわけではありません。
子育てはロングランだからこそ、走り続けながらのケアが重要。パパをはじめとした周囲の人たちの理解を得ていくことが、ママの心を軽くする一助になるでしょう。
◆ 人気ママさんブロガーLICOさんのブログ。4歳の娘さんと2歳・0歳の息子さんのママです。読者数が1万5千人にものぼり、その人気ぶりからブログの内容をまとめた書籍も出版されています。特に『子育てを大変だと感じる本当の理由』という記事は、数多くの子育てママたちの心を動かした秀作。
https://ameblo.jp/licolily/entry-11963547974.html
『子育てを大変だと感じる本当の理由』
③子育ては、家族全員が成長する大切な過程
子育ては、ママ自身の成長の場です。子どもとの生活を通じて、今まで知らなかった自分を目の当たりにしながら、ママとしての自分を確立していきます。
それはママに限った話ではなく、パパにとっても同じこと。子どもの前においては、大人として自立した自分でいるだけでは事足りません。子どもの成長に合わせて、パパとしての自分を更新していくことが求められます。
そのためには、子どもとじっくり対峙する時間が必要。それに加えて、子育てにおいて常に先陣を切っていくママを、ケアしてあげることも不可欠。子育ては、子どもを迎えた家族全員が成長を求められる機会なのです。
ちなみに、子育てブログのトップブロガーさんの夫によると、自分の身にキャパオーバーなことが降りかかると、男という生き物はどうしても現実(子育て)から逃げてしまうらしいです…。
◆ 山口県在住、転勤族一家のママさん。3人の男の子の育児真っ最中。大手ブログ内での子育てカテゴリーにおいて、常に上位に位置づけるトップブロガーさんです。テンションの高めの文章と、記事中のイラストが良い味をきかせていて、シリアスな内容もおもしろおかしく読めます。
https://ameblo.jp/chunta-2011/entry-12324691684.html
『是非旦那さんに見てほしい!コウノドリ第三話』
ママさんブログに対する意見
①夫たち編
主婦の場合、ブログに熱が入ると自然とスマホやパソコンを触る時間が長くなるので、夫の目に付きやすくなります。それがブログ運営のカミングアウトになることも多いようです。とあるママブロガーさんの場合、夫のリアクションは「え~やん」だったとのこと。
運営が順調であることが承諾してくれた一番の理由とありましたが、「アウトプットの場を設けてくれた」ということも、ブログ活動を肯定する大きな要因となったようです。
この方によると、女性は1日2万語を話さないとストレスが溜まる生き物だそう。
育児に籠りがちのママたちは、言葉を発することに飢えているのです。それをパパが一人で受けとめることは到底無理でしょうし、受けとめきれずに残ったストレスを当て付けられるのもツラい。それをブログで発散してくれるのならいくらでもどうぞ、というわけなのだそうです。
◆ 1歳と3歳のお子さんを育てる主婦の方。WEBもイラストも未経験ながら、日々の子育てを綴った絵日記ブログに挑戦しています。
http://www.gu-gu-life.com/entry/2017/06/22
『ブログに対する家族(夫)の反応』
②妻たち編
ママブログを運営する最大のモチベーションは、「本音を吐き出す」ということ。
外界からシャットアウトされたかのような子育ての世界の中で、鬱々と溜まっていく感情たち。子ども相手に放出するわけにもいかず、ママたちの心は常にストレスフルです。
そのストレス解消法は、各々の趣向で異なるところ。しかし、本音を洗いざらい話すということは、どんなママにとっても自己受容につながる大事な行為です。
言霊を大切にし、「マイナスなことは口にしたくない」という主義の人だって、子育てという独特な時間の中では、それだけでは乗り切れないことを悟っていくでしょう。
ママたちにとって、他のママの本音が覗けるブログは、ある時には心強く、ある時にはプレッシャーになりつつも、「自分も本音を出して良いのだ」という許しを得られるような感覚になれるのです。
悪口まみれでも、自己主張全開でも、個人の自由。ママたちは自分の好きなときに自由に発言したり、眺められるブログスタイルを楽しんでいます。
◆ パティシエやフードスタイリストのお仕事を経て、2人のお子さんを育てるシングルマザーさん。現在はお菓子教室やスイーツの商品開発などに携わるなど、子育てに、お仕事に、邁進されています。雑誌掲載も多数の有名ブロガーさんです。
https://lineblog.me/mamagashi/archives/725903.html
『本音を言えば、ママでもキレイにいたいのです』
パパさんブロガー達の子育て哲学
①夫婦そろって家庭の共同経営者である
仕事をしているパパにとって、子育てとは「参加」したり、「協力」したりするものというイメージが定着しています。
でも本来は、夫婦そろって家庭の共同経営者であるわけで、どちらかがメインとなって、どちらかがプロジェクトに「参加」したり、「協力」したり、というのはおかしいわけです。
長らく日本に染みついた「子育てや家事は母親の仕事」という概念から、いよいよ脱しようとしている今。変革期を迎えた現在の子育て世代の親たちは、物理的にも精神的にももがきながら、それぞれの家庭に合った答えを探していかなければなりません。
今言えることは、「仕事と子育てどっちが大変?」という質問は、無意味であるということ。そして「あなたは仕事」「わたしは子育て」というように、夫婦の役割について完全なる分業はおそらくできないということ。
まったくベクトルの違う事柄なので、ひとつの天秤にかけて重みを量ったり、分けたり、ということはできないのです。
実際に、パパが仕事をしながらも子育ての比率を上げてみたときに、こうした気づきを得ることが多いようです。そこでたどり着く境地は「ワークシェア」。
夫婦それぞれの得意分野や時間割などをよく検討し、タスクをシェアしていく重要性が、パパさんブログによく語られています。
◆ 男の子と女の子、2人のお子さんを持つサラリーマンパパ。1人目のお子さんが誕生してから、家事・育児に本格的に参加。「仕事に、家事に、子育てに、がんばる父さん」をテーマに、奥さまとのこと、お子さんとのことをイラスト付きで綴っています。
http://tousan.hatenablog.com/entry/2016/10/04
『「家事ハラ」炎上騒動から2年―。夫の育児参加と家事協力で陥りやすい罠について再考する。』
②子育てと仕事は別次元
ママブログで前述しましたが、子育ての心労は「達成感の欠如」にあります。これは、パパがガッツリ子育てに関わった場合にも、同じ精神状態に陥るでしょうし、心理的不安感はママ以上かもしれません。
仕事では、常に結果を出すことを求められ、結果を出すための段取りを組み、タスクをコントロールしていきます。すべてが自分のコントロール下に置かれている世界です。
この法則の下で過ごす時間が長いパパにとっては、真逆のベクトルにある子育てとの出会いは、大きなカルチャーショックを受けることになるでしょう。
仕事を持つママも、産休、育休、時短勤務などの制約を経て、ショックを徐々に受け入れていくと思いますが、パパは100からゼロに行くようなもの。
まずは、仕事と子育てはまったく別の世界、別の概念の話なんだ、ということを認識するところから始まるようです。
③子育ては「旅」
“子育てには、「子どもを育てあげる」という壮大な目標があり、そこに向かう長い長い道のりの途中で「成長」という結果が垣間見える。その感覚を例えるなら、子育ては「旅」のようなもの”と、ブログに綴っているパパブロガーさんがいます。
“目的地にたどり着く達成感が欲しくて旅に出るのではなく、その旅路でどんな景色を見て、どんな発見をするのか、どんな思い出をつくることができたのか。それを楽しむのが旅の醍醐味。つまりは、子どもと過ごす毎日の生活そのものに楽しみを見出す、それが子育てを乗り切るコツである”と。
子育てにおける結果は、求めて得ようとするものではないので、そこに達成感を求めるのもナンセンス。子どもとの日々の暮らしの積み重ねが、「子どもの成長」という結果を招いてくれる。それが親の心をも満たしてくれる、という視点を持つ。冷静な分析ながら、心がハッとさせられるご意見です。
◆ 3児のパパさん。広告代理店で連日深夜まで働き、子育てにはまったく参加していませんでしたが、起業を機に今度はパパがメインで子育てを行なうように。仕事時代と子育て時代の両方を経験したことを機に、子育て世代を支える活動を行なう会社を運営しています。
http://matsuitomohiro.hatenablog.com/entry/2015/02/06/123431
『本当に仕事より子育てのほうが大変なのか?』
パパさんブログに対する意見
①夫たち編
一口に「パパ」と言っても、さまざまな「パパ」がいます。
会社員のパパ、自営業のパパ。新入社員、社長さん。朝は保育園に子どもを送るけど、帰宅は深夜。朝は子どものお世話はできないけど、子どもをお風呂に入れるのが日課。子どもの誕生を機に、仕事に精を出して多忙となった。子どもとの時間を優先するために、専業主夫となった。などなど。
子どもが生まれるということは、パパにとっても人生のターニングポイント。そこで自らの生活を振り返るパパも多いはずです。生活環境は変えないままで、子どもを受け入れる努力をする。子どもを迎え入れやすくするために、ライフスタイルを変える。
パパたちなりのさまざまな努力やトライ&エラー、子どものために行動して知ったこと、思ったこと。こうした沢山の事例が、パパブログにはあふれています。
普段、他人の生活に興味を持ったり、情報共有することが少ないパパたちは、どうしても他のパパたちの様子に鈍感になりがち。多様な生活を送るパパたちの暮らしぶりがスマホを眺めるだけで知り得るパパブログは、パパにとって良い気づきになっているようです。
◆ 自動車ディーラーで朝から晩まで働く日々を送っていましたが、子どもの誕生を機に一念発起して主夫になったパパさんブロガー。ご夫婦ともに無職という思い切った生活の様子に注目が集まっています。
http://yuhico.net/hh-daily-life13#more-526
『ブログ作りに初挑戦。はたして続くのか?』
②妻たち編
パパたちの本音が語られているパパブログ。子どもとのエピソードが書かれているときに、ママから見たら「そんなことも大変に思ってしまうの?」というような内容もあります。
そんなときには、コメント欄に上から目線の批判的な反応が見られるときも。それはもしかして、自分の夫に対するのと同じ態度が表れているのかもしれません。一方で、ママから見たら初歩的な大変エピソードでも、「お疲れ様でした」の一言で、ねぎらいを忘れない人も。
パパブログに対するママたちの反応は、実生活の投影なのかもしれません。どちらにせよ、普段は言葉数の少ないパパの奮闘エピソードは、パパの心の葛藤を知る良い機会。パパとママ、夫と妻としての関係を改めて考えるには丁度良いようです。
◆ 歯に衣着せない子育てブログとツイッターが人気を博し、賛否両論のコメントが多数集まることで有名。仕事と育児と趣味を分け隔てなく行なうことを信条に生活する、お子さん2人のパパさん。
http://blog.livedoor.jp/shine4step/archives/1014904844.html
『子どもを2人以上連れて出かけてはいけない7つの理由』
まとめ
妻も夫も、人生のシフトチェンジを迫られる「子育て」というライフイベント。人間相手の大仕事で、一筋縄では乗り切れません。だからこそ、子育てとは、仕事とは、家族とは何かということについて追求し、心の拠りどころにしたくなるのかもしれません。
発想や視点を変えるだけで日々の子育てがガラッと変わることは、ママさんパパさんブロガーの意見でも共通していること。みなさんの子育てブログを心の支えに、ママとパパが共に日々の子育てを楽しんでいけると良いですね。
スポンサーリンク