ネグレクトという言葉をご存知でしょうか。
いわゆる育児放棄のことですが、現在このネグレクトをする親が増えています。ネグレクトは子供の心や成長に非常に大きな悪影響を及ぼします。特別な親だけがネグレクトをするわけではなく、親であれば何かをきっかけにしてネグレクトをしてしまう可能性があります。
そこで今回はネグレクトの現状やその原因、ネグレクトをしないための予防法や対策をご紹介します。
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ネグレクトとは
ネグレクトとは別の言い方では育児放棄といいます。こちらの方が、より子供に対してひどいことをしているようなイメージがあるかもしれませんね。子供にとって必要な教育、医療、食事、情緒などを与えずに育児を放棄することをネグレクトといいます。暴力などと同様に虐待の1つです。
ネグレクトは大きく「消極的ネグレクト」と「積極的ネグレクト」に分類され、さらに「一般的ネグレクト」「情緒的ネグレクト」「教育的ネグレクト」「医療的ネグレクト」「保健ネグレクト」の5つに分類されます。
消極的ネグレクトとは、親の経済状況や障害、精神的疾患によって育児ができずに育児放棄状態になってしまっていることをいいます。ネグレクトをしたいと思っているわけではなく、親の心身状態や経済状況によるものなので、周りの助けが必要になります。
積極的ネグレクトとは消極的ネグレクトとは逆に、育児ができる状態にあるにもかかわらず、何らかの理由で育児を放棄することを言います。
一般的ネグレクト
一般的ネグレクトとはもっとも多くみられるネグレクトで、子供に必要な衣食住を放棄することです。食事を与えない、お風呂に入れない、汚れた服を着せているというようなものです。
情緒的ネグレクト
情緒的ネグレクトとは子供の言動や要求を無視するもので、子供の意思を無視して親の都合を押し付けてコントロールしようとするものです。
一般的ネグレクトと違い、情緒的ネグレクトは周囲からも気づかれにくく、親自身も自覚せずにしていることが多く、大人になってからも心に問題を抱えた、いわゆるアダルトチルドレンになりやすい傾向にあります。
教育的ネグレクト
教育的ネグレクトとは義務教育を子供に受けさせないというもので、教育機関から登校を促されても応じずに子供を家に閉じ込めてしまうというものです。
医療的ネグレクト
医療的ネグレクトとは子供の体調が明らかに悪いにもかかわらず、きちんとした治療を受けさせずに放置するものです。そのために命を落としてしまうお子さんもいます。
保健的ネグレクト
保健ネグレクトとは子供に必要な予防接種を受けさせなかったり、自治体が行う健診などを受けさせないものです。これらは自治体が強制することはできないので、ネグレクトの判断が非常に難しくなります。
現在、ネグレクトの相談件数は増加傾向にあります。ネグレクトを含む児童虐待の相談件数は厚生労働省の発表によると、平成24年度6万6,701件にも上り、それに伴い虐待によって命を落とす子供の数も増加しています。
ネグレストの原因
ネグレクトの原因はいろいろありますが、主には以下があげられます。
・貧困
・片親
・薬物
・アルコールの乱用
・精神障害
・育児ストレス
・子供への愛情不足
・核家族化
・周りに育児について相談できる人がいない
・親自身が子供のころにネグレクトを受けていた
これらのうちひとつだけが原因の場合もあれば複数が絡み合って原因となっている場合もあります。
これもネグレクト!
自分自身では子供に対してネグレクトをしていないつもりでも、ネグレクトと気づかずにしているケースもあります。
・必要以上に叱り恐怖感を与える
・深夜、子供を置いて外出する
・泣きわめいている子供を放置する
・必要なスキンシップをしない
こういったこともネグレクトに含まれてしまいます。もし当てはまるのであればしっかりと意識しましょう。
ネグレクトで子供に現れる症状
ネグレクトを受けることで子供に現れる症状を見ていきましょう。
まず未就学の幼児や児童では以下のような症状が見られます。
・暴力的
・低身長低体重
・表情がでない
・友達が作れず孤立する
・言葉や運動能力の遅れ…
次に就学児童では以下のような症状が見られます。
・落ち着きがない
・噓をつく
・授業に集中できない
・遅刻や欠席が目立つ
・友達を作れない
・攻撃的
・食べ物をねだる
・物を盗む
・帰宅時間を気にしない…
ネグレクトを受けた子供は幸せホルモンといわれる「オキシトシン」の分泌が不足します。それによって対人関係に支障が出ます。
ネグレクトの対策
ネグレクト対策として1番大切なことは誰かに相談をすることです。
育児は自分の思い通りにならないことが多く、非常に大変です。周りにいる育児の先輩や保育園、幼稚園の先生、ママ友などに相談にのってもらうことで悩みが解消されたり気持ちが楽になります。
また、周りに相談するだけではなく、必要であれば専門機関へ相談することも大切です。経済的な理由があれば手当などに関する相談ができたり、児童養護施設などへ相談することもできます。
自分一人で抱え込まずに、まず「誰かに相談する」「話を聞いてもらう」ということがネグレクト対策になります。
まとめ
ネグレクトは子供の命をも奪ってしまう可能性がある虐待のひとつです。そして特別な人だけがするものではなく、誰しもがネグレクトをしてしまう可能性があります。
大切な子供の心や体をネグレクトによる悪影響から守り、さらには命を守るために、ネグレクトに気づいたら早めの対策をとりましょう。自分自身ではなく周りにネグレクトの疑いがある子供がいるなら、すぐに福祉施設などに通報しましょう。虐待を発見した場合は通報する義務があります。
最近では通報者の個人情報が漏れないようにする法律もできています。「もし通報して間違いだったら…」と気にしていては手遅れになる場合もありますから、一人でも多くの子供を守るため、しっかりと対策をとっていきましょう。
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