子供に習わせたい習い事として、常にランキング上位にあるのが『ピアノ』です。ピアノを習っていれば頭がよくなる、良い大学に入れる、集中力がつく、などと思われている方も多いはず。
確かにピアノを演奏する時、楽譜を目で見ながら、指を動かし、脳も体も大忙しです。ではこの動作が、ピアノ教室に通うだけでできるようになるのでしょうか?ピアノが与える効果が100%感じられるようになるには、本人だけではないサポートが必要だったのです。
目次
ピアノは早ければ早いほどうまくなる!?
まだまだ日本語もままならない子供を連れて、ピアノ教室の見学にこられる方を見かけることがあります。習い事は早いほど良い、特に体で覚える事はそうあるべき、と刷り込みのように思っていらっしゃる保護者の方も多いと思います。実際、私も新講師の時は3歳の子供さんを体験レッスンし入会させたこともありました。しかし、3歳といったら、やっとオムツも外れ手足も自由に使うことができ、たくさん身体を動かしたくなる年齢です。会話はできても、読むことや書くことはまだまだ上手にできません。保育園や幼稚園でたっぷり遊んで、
やっとお母さんと会えた、そう感じている時にピアノ教室に連れてこらます。そして30分間、母親以外の女性と過ごさなければならない、難しい言葉をたくさんかけてくる、重たい鍵盤の大きな楽器を弾けと言う、修行でしかありません。これでは、辞めてしまうのが目に見えています。
ピアノではなくリトミックなどの音楽教室から
小さな手でピアノを弾くのは、逆に手を傷めてしまう恐れもあります。ピアノの前段階として、身体でリズムを感じて動くことをしたり、歌を歌って音感を身につけることができる、リトミックなどの音楽教室をまずは体験してみることが良いと思います。こういった教室は親子で参加するものが多いですから、子供も安心してできます。
また、お家に帰ってもお母さんと一緒に覚えたことをできますから、自然と反復練習にもつながっていきます。子供にとって一度、楽しくないと感じてしまったものは、子供の間には取り戻すことはできないと思います。ですから、まずは音楽を楽しいと思える環境に触れさせてあげることから始めるのが良いでしょう。
天才がいることを知っておく
努力の先に天才がある、こともありますが、本当に天才もいる、ということを知っておきたいです。リストの『愛の夢 第三番』を演奏している小学生の男の子をテレビで見たことがありました。その表情はリストがのりうつったかのような遠い目をし、『愛の夢』という題名に対して小学生がどう感じているのか、それは見事な演奏でした。ああいったピアニストを見ていると、やはり天才なんだなと思わずにはいれません。
コンクールで入賞する子供達がどんなに素晴らしくても、どれだけ努力しても、彼には追いつかないのですから。ピアニストの真似をして小さい頃から始めた方がいいと思いがちですが、だからといってそこのレベルにいけるかどうかはわかりきったことなのです。ピアニストになった彼も、コンクールで入賞する生徒も、始めたいと思った時が、その子にあった時期なんです。ピアニストの彼はこうも言っていました。「僕は天才ではないです。練習の天才なのです。」と。
いつ始めたかが重要ではなく続けることが重要
野球でもテニスでもピアノでも、一流と呼ばれる人はそう呼ばれるようになっても、練習は辞めません。きっと練習を練習と思わず、どうしたらもっとうまくできるかの答えを求め続けているんだと思います。3歳から始めてもレッスンの時にだけピアノに触る習慣が身についてしまうと、身体が大きくなっても練習をすることができません。練習をしなければ上達しませんし、先生にも怒られます。自分でも周りとの差を感じてくると楽しくなくなるでしょう。習い事は楽しくなくなったら終わりです。
続けるには家族の応援が一番!
ピアノの先生は魔法使いではありませんから、週に1度たった30分顔をあわせるだけで、上手にさせてあげることはできません。先生は30分で何を教えてくれるのか。それは、家庭での練習方法なのです。レッスンの時に言われる「ここは、こうやって弾くのよ」「この指をもう少しこうするといいよ」は、全て実践トレーニングの方法なのです。
お母さんは先生ではありません
小さい時に習っていたり、少し弾けるお母さんに多く見られるのが、練習している子供のそばで、「ここはこうじゃない?」「こう弾くのよ」「また間違えた」など、つい言ってしまうことです。せっかくやる気になって練習している子供も、嫌になっていしまいます。レッスンで先生に注意され悔しい思いで練習をしているのかもしれません。親の役割は、励ましです。そして、そっと見守ることが大切なのです。
親が教えてあげること
では、レッスンに通わせるだけで親は何もしなくていいのか?いいえ、とても大切なことがあります。それは、子供の生活リズムを作ってあげることです。それはピアノを習い始めた時でもその前からでも始めます。朝起きる時間、起きてからの順番、登園登校の時間など毎日の生活習慣を身につけさせます。習い事のある曜日の過ごし方、小学生になると宿題もあるので、どのタイミングで宿題をし友達と遊び習い事に行き、一日を有意義に使えるかを教えてあげることで、子供は徐々に自分で考えて計画を立てられるようになります。器用に何でもできる子というのは、実は計画を立てられる子、時間をうまく使える子だと思います。
中学校に入ると部活やテストで、大きく生活のリズムに変化がおきます。ピアノだけでなく習い事に区切りをつけようとする時期でもあります。しかし、ピアノは実はここからがもう一段階ステップアップしていく時なのです。
忙しい生活の中でもピアノの時間を作ることができる力、計画性を持てる子は難なく続けることができます。心の成長と共に、曲に対しての感じ方も変わりますから、より深く音楽を理解できるようになります。身体も大きくなりますから力も付き、持続力も付きます。そうすると、今までは憧れであった名曲も演奏出来るようになります。ピアノを演奏することだけでも幅広くなり楽しめるチャンスの時期なのです。
まとめ
『ピアノを習っていれば頭が良くなる』ある意味正解なのかもしれません。でもそれは、その場しのぎのレッスンを受けるだけでなく、先生の教えを素直に聞き、家庭でもきっちりと練習をする、そして続けていく、それができる子が良い高校や大学に合格していると思います。継続することはピアノで1曲演奏することよりも難しいことです。辞めてしまうことはとても簡単です。今まで積み重ねた力は倍以上のスピードで崩れていきます。そしてピアノのレッスンで得られるものは、ピアノの技術だけではありません。実は目に見えないところの力が成長できているのです。過剰な期待をせず、先生との信頼関係を築き、素直な気持ちでレッスンを続けていけば、きっと心も頭も豊かになってくるでしょう。
スポンサーリンク