普段の生活で耳にする音楽の多くは、ポピュラーミュージック(以下、ポピュラー)です。テレビから流れてくるCMの音楽やドラマやアニメの音楽、歌番組などの歌手の音楽、映画音楽や環境音楽などクラシックではない音楽は日常生活に溢れています。コンクールでポピュラーを弾くことはありえませんが、音楽の幅を広げるためにもポピュラーを学ぶことはとても良いものだと思います。
ピアノを学ぶ者として、親しみのある音楽の方が続けやすいという利点もあります。中には、クラシックしか教えない、弾かないという先生もいらっしゃるかもしれませんが、同じ音楽としてより広い知識と技術を身につけることができる、新しいジャンルとして取り入れてもいいはずです。ポピュラーにしか学べないこともあるのです。
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目次
身構えずに気楽に
クラシックのように作曲者の時代背景や曲に込められた意味など、深いことはあまり考えずに楽しむことを目的として始めると、ピアノを弾くという純粋な楽しさが、改めてわかってくるはずです。元々の曲がコンピューターや打ち込みで作られている音源であれば、ピアノ用に編曲されているので、弾きにくい所は必要に応じて書き直す事も十分ありえると思います。
弾きにくいからといって、リズムや音がめちゃくちゃになってはいけませんが、とにかく自分が楽しめて、音楽の流れが止まらなければいいのです。
楽譜が豊富にあるので選びやすい
楽譜売り場へ行くと、クラシックとは別でコーナーが設けられていて、それと同じくらいのスペースでポピュラーの楽譜が揃えられています。ジャンル分けもされていて、人気の曲からコアなアニメやアーティストの曲まであり、探すのも楽しみの一つになるぐらいです。
最近では1曲からインターネットでも買うことができ、高い楽譜に諦めてしまうこともなく、気軽に楽しめます。編曲者によってアレンジも異なり、同じ曲でもさまざまなアレンジを楽しむこともできます。何より、入門~上級までレベルが幅広くあり、まさに弾きたい曲が弾けるようになっているのです。
普段のレッスンからちょっと息抜きする
いつもはクラシックを学んでいて発表会やコンクールなどを頑張ってきたけれど、ちょっと行き詰まってきたな、勉強や部活でなかなか練習できなくて辛いな、と感じてくる高学年の生徒にもポピュラーで気分転換させることができます。
今まで培った基礎技術がついているので、多少の指遣いも大目に見て、楽しくリズムに乗れるかを目的とすれば、レッスンや練習も苦しくはならないでしょう。アレンジによって弾きごたえのあるものを選べば、満足感も得られます。知っている曲を選ぶので、自然と流れを止めたくない意識も出てきますから、音楽として大切なことも理解できます。
気楽な中にも学ぶことは忘れない
気楽に気楽に、とばかり思ってリズムや音を曖昧なものにしては、せっかくのポピュラーのかっこよさが無くなってしまいます。やはり学ぶべき所は学んで、ポピュラーらしい弾き方を覚えることを忘れてはいけません。ジャンルの違うものを演奏するのだ、ということは今までと同じでは弾けないということなのです。ですから、今までのクラシックで覚えた知識だけで弾ける簡単なものだ、となめてかかってはいけません。
アクセントやアーティキュレーションはこだわりたい
クラシックと一番大きく違うのは、アクセントでしょう。作曲者が丁寧に楽譜に書き込んであるものもありますし、音源を採譜した楽譜でしたら、アクセントどころか強弱記号一つ書いていない楽譜もあります。方言のようにアクセントの場所一つで印象は大きく変わります。音源をよく聴いてどこにどのようにアクセントをつけたらかっこよくなるのか、耳をよく働かせることが重要です。
そして、アクセントや記号が書いていない楽譜には先生が書き込む必要があります。ペダリングもほぼ書いてありません。ペダルは多様せず、必要に応じて必要なタイミングで使うという技術も大切です。どうせポピュラーだからと軽んじず、生徒が学ぼうとしていることの上に、先生は常に目を向けていてほしいです。
音源や映像で勉強する
ポピュラーを演奏する人の身体を見ていると、クラシックを演奏する人とは少し姿勢が違うように思います。背筋をピンと伸ばして椅子の半分に腰掛けているようなスタイルではなく、もっと自由に身体を動かす座り方で、左足でリズムをとるような座り方をしているなと思います。
それを真似しろというわけではありませんが、形から入るというのも一つの手ですので、真似をするのは良いのではないかと思うのです。テレビで歌手が歌っている後ろで演奏しているバンドのピアニストを見ると、とてもかっこよく演奏されています。身体でリズムをとり、手でリズムを刻み、上から下までグリッサンドしたりとよく椅子から転げ落ちないものだと思います。
ほとんどが男性のピアニストですが、身体の使い方がもっとアグレッシブな物に対応できるのかなと思います。
意外とクラシックアレンジがおもしろい
有名な交響曲だとピアノアレンジで楽譜が出されています。連弾で華やかなものになっているものや、初級でも弾ける簡単アレンジになったものまで、さまざまあります。誰でも知っているような超有名曲なので、お家で練習している様子を聴いていても楽しめますし、発表会で演奏してもみなさんが楽しめます。
上級になると立派なピアノ曲に編曲されているのでレパートリーの一つに加える事は十分可能ですし、即興や編曲の勉強にもなり一石二鳥です。
まとめ
ピアノ=クラシック、と決めつけてしまうのは、あまりにも乱暴なのではないかと思います。まるでポピュラーなんて音楽ではない、とでも言っているようです。同じ音楽なのですから良いも悪いもありません。普段の生活でピアノをしている人、していない人に関係なく、誰でもよく聴く音楽はクラシック以外の音楽のほうが多いはずです。
聴き慣れた音楽で勉強していくことはもしかすると、当たり前の事なのかもしれません。しかし、ジャズピアニストであっても基礎はクラシックから始まっていたりします。ですから、基礎技術を学ぶにはクラシックなのでしょう。いろいろな音楽を聴いて演奏して、いろいろな技術を身につけて、楽しんでいくことが一番なのです。そこに正しい音楽のジャンルはないのだと思います。
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