巷で流行しているロシアンティー。
爽やかなフルーツの酸味と甘み、そして熱い温度が体を巡り、とてもほっこりしますよね。午後のティータイムや仕事終わりのまったりした時間ににロシアンティーとちょっとしたお菓子でも添えれば、最高です。
でも、ちょっと待ってください。それは本当にロシアンティーなのでしょうか。わたしたちがロシアンティーだと思って飲んでいたものは、実はロシアンティーではなかったかもしれません。
今回は、本場のロシアンティーの魅力をたっぷりと伝えていこうと思います。ロシアンティーについて詳しくなって、さらにロシアンティーの美味しさを堪能していきましょう。
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目次
ロシアンティーとは
外出先の喫茶店などで、コーヒー以外のホットドリンクがあると嬉しいですよね。
なかでもロシアンティーは、甘くフルーティーな香り、上品で邪魔にならない渋みなど、大人がリラックスするには最適な飲みものです。苦味が苦手な人や、香り付きの飲みものを楽しみたいという人にもおすすめです。
しかし、「ロシアンティーってなんだ?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
ロシアンティーを楽しむために知っておきたい知識をご紹介します。
ロシアンティーの意味
まず「ロシアンティー」という言葉についてですが、これは実は和製語で、意味は「ロシアのお茶」になります。
ロシアではお茶は栽培されていませんのでロシア製のお茶ではなく、ロシアでたしなまれている紅茶の飲み方、という考え方が正しいかもしれません。
ロシアンティーの解釈
ロシアンティーという名前の飲み物は、各国で違うことはご存知でしょうか。
例えば、イギリスにおけるロシアンティーは紅茶にレモンを浮かべたもの、つまり日本で言うところのレモンティーを指します。
また、日本におけるロシアンティーは、紅茶に直接ジャムを入れ混ぜたものを指します。
それぞれの正確な由来ははっきりと分かっておりませんが、これらは本場のロシアンティーとは異なっています。
ロシンアティーの飲み方
先述の通り、日本で広まったロシアンティーは、ジャムを直接紅茶に入れた、ジャムと紅茶が混ざった状態のものでした。
では、本場のロシアンティーとはどんなものなのでしょうか。
一ロシア式の紅茶の飲み方では、ジャムをカップに直接入れず、小皿などに用意してスプーンですくい、舐めながら紅茶を飲みます。
日本で広まったロシアンティーとはジャムを入れるかそうでないかの違いだけで、大きく異なるというわけではありません。
ロシアンティーの誕生秘話
では、ロシアンティーはどのようにして生まれたのでしょうか。
ロシアンティーが生まれた理由
なぜロシアでは紅茶にジャムを入れずに舐めながら飲むのか、については諸説あります。
中でも有力なのが、「とても寒いロシアでは紅茶によって身体を温める習慣があるが、ジャムを入れると紅茶の温度が下がってしまうため」という説です。
確かに、せっかくの暖かい紅茶が冷めてしまってはもったいないですね。極寒のロシアで、少しでも寒さを和らげるための方法としては信ぴょう性のある話です。
ロシアンティーが生まれた背景
ロシア全土に紅茶が広まるようになったのは、1903年のシベリア鉄道開通の後と言われています。
それまで高価でなかなか手に入らなかった紅茶が、この出来事により庶民にまで広がるようになったのです。
ロシアではテーブルを家族や知人などの大人数で囲い、長い時間紅茶を飲みながらおしゃべりなどをして楽しむのが習慣となっているそうです。この習慣が広まったのは、「サモワール」の存在があったからに他なりません。
サモワールは、ロシア独特の湯沸かし器のことで、3〜10リットルもの容量の湯を電熱で沸かす事ができるものです。すぐにはなくならない量ですから、ロシアの人々は、このサモワールを使い何杯もの紅茶を飲みながら、延々と話をしたそうです。
ロシアンティーにジャムを入れる理由
ではなぜ、ロシアではジャムが紅茶のお茶請けの定番になったのでしょうか。
現在はジャムの他に砂糖やはちみつを用いる場合もあるそうですが、昔はそれらはとても貴重でなかなか手に入りにくいものでした。そのため、野いちごなどの果物から手軽に作ることのできるジャムが、甘味料として重宝されていたのです。
そういった経緯から、今でもジャムを紅茶のお茶受けにする習慣が残っているのです。
本格ロシアンティーの作り方
ロシアンティーの作り方はとても簡単で、主に「紅茶を入れる」と「ジャムを用意する」の二つに分かれます。
当たり前のことですが、美味しい紅茶を入れ、美味しいジャムを用意することができれば、最高のロシアンティーが飲めます。
ここでは、より本格的なロシアンティーを楽しむための作り方をご紹介します。
STEP1 美味しい紅茶を淹れる
では、美味しい紅茶を淹れるうえで押さえておきたいポイントをあげていきましょう。
紅茶の黄金則3つ
1.水…硬水よりも軟水を選びましょう。お湯は沸騰してすぐの100℃が適温です。
2.ポット…鉄分が含まれているものは使ってはいけません。紅茶のタンニンが鉄分と化合し、紅茶の味と香り、色を劣化させてしまいます。
3.カップ…紅茶は色と香りを楽しむ飲み物です。したがって、紅茶の色が最高に映える白いカップや、側面からきらびやかに透けて見える透明なカップを使用すると目でも楽しむ事ができます。また、香りが広がりやすいよう、浅く広い形のものがベストです。
紅茶の淹れ方
- 水を沸騰させる。泡の音が聞こえてきたら沸騰した合図。
- ポットとカップを事前にお湯で温めておく。これを忘れると、カップに注いだ際に紅茶の温度が下がり、味が落ちる。
- ポットに人数分の茶葉を入れる。量の目安はティースプーン1杯分。
- 沸きたてのお湯をポットに注ぎ、すぐにふたをする。1杯分のお湯の量は140〜160ml。
- そのまま蒸らす。時間の目安は、2分半から3分半ほど。
- ポットの中を、お湯が冷めない程度にまぜる。
- 茶こしを使って茶殻をこしながら、濃さにムラができないようにまわしてカップに注ぎ入れる。
上記の黄金則3つと紅茶の入れ方により、いつもより美味しい紅茶が飲めることでしょう。多少手間はかかりますが、試してみる価値はあります。
STEP2 美味しいジャムを用意する
次に、お茶請けのジャムを工夫してみましょう。市販のジャムも美味しいですが、せっかくなので今回は「ヴァレーニエ」というものをご紹介します。
ヴァレーニエとは
ヴァレーニエとは、ロシアで古くから作られている果実の砂糖煮をさします。
普通のジャムと違う点は、果物をカットしたり潰したりせず、そのまま煮て作る点です。作り方はシンプルですが、ある程度の時間と手間が必要です。
ヴァレーニエの作り方
まず、用意するものは、ヴァレーニエにしたい果物と、砂糖のみ。果物は調理しやすいさくらんぼや苺などのベリー系がおすすめです。砂糖の量は、特に決まりが無いなので、果物の重さと同重量など、お好みで。
調理の方法は以下の通りです。
- 果物のへたなどを取り除きよく洗う。
- 果物を鍋に入れ砂糖を上から全てかけ、一晩ほど置いておく。
- 果物から果汁が出ているのを確認したら、火にかける。火は弱火にし、時々ゆっくりとかき混ぜる。この時、出たあくは取り除く。
- 泡が出て沸騰したら、一旦火を止めて冷ます。
- 十分に冷めたら再び鍋を火にかけ、3と4の工程を繰り返す。
- 果物に新鮮さを残したいのであれば、この繰り返しは少なめに。長く保存をきかせたいのであれば、この繰り返しは多めに行うようにする。
完成したヴァレーニエは、ジャムとは果実感がまるで違います。ソーダや水などで割ってジュースにするのもよいですが、ロシアンティーとの相性も抜群です。
かけた時間と手間以上の見返りがあるので、ぜひ試してみてください。
もっとロシアンティーを楽しむ
前項では本格的なロシアンティーの作り方をご紹介しました。ここでは、さらにロシアンティーを楽しむ方法をいくつかご紹介したいと思います。
ジャムを複数用意して飲み比べる
ロシアンティーの楽しみ方の一つとして、お茶受けのジャムを複数用意して、色々な味を飲み比べるというものがあります。
今やわたしたちは色々なジャムを手に入れるのはそう難しくありません。自分の好きなジャムがいくつもあって、一つに絞れないのであれば、それらを全て用意すればいいと思います。そうすることで、自分の中で最も紅茶に合うジャムが判明したり、味に変化をつけながら楽しむことができます。
味に変化をつけられることこそ、ロシアンティーの真骨頂とも言えるでしょう。
サモワールを使う
ロシアの伝統に触れてみたいのであれば、サモワールを使いましょう。
サモワールは前述した通り、ロシア独特の湯沸かし器のことを言います。これはただの湯沸かし器ではありません。とても豪華で手の込んだ装飾が施された、アンティークとしての価値も高い美しい湯沸かし器なのです。
それゆえ、ロシアではサモワールを中心に据え、周りを囲ってお茶会が進められていたのですね。
サモワールの使い方
サモワールを分かりやすく言うと、上部のティーポット部分と湯を沸かす円筒の部分、壺の底にある蛇口の部分に分かれています。
真ん中の円筒部分で湯が沸かされると同時に、上部に固定されている(取り外せる)ティーポットを上昇する熱風で加熱するという仕組みです。
ティーポットの中には大量の茶葉が濃く煮出されているので、それをカップに適量注いだ後、下部の蛇口をひねりお湯で薄めて飲むのがロシア式の紅茶の飲み方だそうです。
つまり、このサモワールを使うことにより好きな濃さの紅茶を飲むことができるのです。
とても珍しいこのサモワールですが、大勢で集まって色々な味を楽しみながら、何杯も紅茶を飲むには最適な湯沸かし器だということが分かりますね。
ウォッカを混ぜる
日本ではカクテルなどで馴染みの深いウォッカ。極寒の地であるロシアでは、身体を温めるために古くから愛飲されてきました。
ロシアンティーにおいても、用意するジャムにウォッカを混ぜることで、身体を温める効果を高める飲み方があるそうです。カクテルでの果実とウォッカの相性の良さを考えると、ジャムとの相性がよいであろうことが簡単に想像できますね。
寒い冬の季節には、ウォッカ入りのジャムでロシアンティーを楽しみましょう。
ロシアンティーにおすすめの茶葉3選
最後になりますが、ロシアンティーにおすすめの茶葉を3つほど用意しましたので紹介します。
せっかくロシアンティーの知識も作り方も知ったのに、いい加減な茶葉を使うのはもったいないです。
茶葉にもこだわり、自分だけのロシアンティーで午後を優雅に彩りましょう。
1.アッサム
強い甘みと芳醇な香りが特徴的なアッサム。ミルクティーとの相性がよいとされる紅茶ですが、ロシアンティーにも最適です。
例えば、バラの香り豊かなローズジャムなどとアッサムは、香りと味が調和しとても美味しい紅茶になるのでおすすめです。
2.ニルギリ
インドで作られているニルギリは、癖があまりなく後味がすっきりとしているのが特徴です。癖が少ないことから、ブレンドで使われる事が多いです。
ジャムとともに味わうロシアンティーにはぴったりの茶葉と言えるでしょう。
3ティンブラ
バラに似た強い香りのするティンブラ。味はコク、渋みなど抜き出たところはなく、バランスのとれた味になっています。
ロシアンティーにする際は、紅茶の香りは生きたまま色々な味とも相性が合うので、一度のお茶会で色々な味が楽しめる紅茶ですね。ぜひ、いろんな種類のジャムとティンブラを合わせてみてください。
まとめ
ロシアンティーは思っていたよりも身近な飲みものだということが分かりましたね。この記事を読んだ人は、もういつでもロシアンティーを楽しむことができますし、親しい友人などにふるまうこともできます。
ロシアンティーは、いつもの日常のなんでもない時間を、素敵な時間にする可能性を秘めています。
大袈裟かもしれませんが、暖かい飲みものが世界中で途絶えてなくならないのは、人々にとってそれが大切なものだからでしょう。
ぜひ、ロシアンティーを楽しんでください。幸せな時間を得ることができますよ。
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