赤ちゃんの皮膚は、大人の皮膚の約半分の薄さしかありません。しかも、角質細胞も大人より小さく、乾燥しやすいのです。その為、ちょっとした刺激でも角質層がはがれて、バリア機能が低下してしまいます。バリア機能が下がると、肌トラブルが起こりやすくなります。乳児湿疹やおむつかぶれ、あせも、アトピーなどの肌トラブルが起こらないように、刺激が少ない洗剤を選んであげたいものです。
「赤ちゃん用」や「おむつ用」と謳われている洗剤はたくさん販売されていますが、実は、それらの表記には、法律によって基準が設けられていません。各メーカーが、独自の基準で、「赤ちゃん用」「おむつ用」などの表記をしているのです。赤ちゃん用洗剤を選ぶ時には、イメージだけでなく、成分も確認して選ぶようにしましょう。
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目次
赤ちゃんと大人の洗剤を使い分ける
なぜ使い分ける
洗剤を使い分ける理由は、大人の衣類についた汚れと、赤ちゃんの衣類についた汚れの成分が違うから、というものです。大人の皮脂や汗に比べて、赤ちゃんの汗の汚れは落ちやすいので、マイルドな成分の洗剤でも、汚れを落とすことが出来ます。
しかし、大人の衣服の汚れは、頑固な皮脂を初め、油汚れ、泥汚れ、タバコの臭いなど、様々な汚れが付着しています。これらに対処する為には、合成界面活性剤や酵素などの、より強力な洗浄成分が含まれた洗濯洗剤や、より「白く」洗いあげることができる蛍光増白剤が入った洗剤、消臭や抗菌の為の成分が添加されている洗剤が効果的なのです。
使い分けをせずに、強力な洗剤で、赤ちゃんの衣類を洗えばいいのでは?と、思うかもしれませんが、赤ちゃんの皮膚はデリケートです。合成界面活性剤洗剤や蛍光増白剤を始めとする、強い成分が、衣類に残ってしまうと、肌がかぶれてしまう心配があります。
「赤ちゃん用」と表記されている洗剤でなくてもかまいませんが、成分表示を確認して、石油由来の合成界面活性剤の含有量が少なく、蛍光増白剤の含まれていないものを選ぶと安心です。購入時には、必ず成分表示を確認しましょう。
いつまで使い分ける
結論からいうと、いつまでという決まりはありません。成長して肌が強くなれば一緒に洗えるようになります。移行時期は、新生児期を過ぎる生後1ヶ月頃、ハイハイを始める頃、一歳を過ぎてからなど、赤ちゃんの肌の様子と相談しながら決めるといいでしょう。
体調や季節によって、肌荒れを起こしやすい時がありますから、一気に移行せず、少しずつ移行します。一歳を過ぎるまでは、赤ちゃん用の洗剤も一応常備しておくと、安心です。
洗剤を選ぶ際の基準
まず、注意したいのが、「赤ちゃん用」「ベビー用」などの表記に惑わされないようにすることです。一般的に、赤ちゃん向けの洗剤は、「蛍光漂白剤無添加」や「合成界面活性剤不使用」などの商品が多いのですが、メーカーによって「赤ちゃん用」の基準は異なります。ですから、購入前に、必ず成分表示を確認しましょう。洗剤ですから、当然洗浄成分は入っていますが、それが何由来の成分なのかが重要です。
次に注意したいのが、「無添加」という表記です。「無添加」というと、何となく「肌に優しい」「ナチュラル」と感じてしまいます。けれども、具体的に何が添加されていないのかのチェックが必要です。「蛍光漂白剤」や「合成界面活性剤」「酵素」「香料」などが入っていても、「無添加」と書かれている場合(違法ではありません)があります。
蛍光増白剤
蛍光増白剤とは、綿繊維を白くする効果のある染料のことです。紫外線をあてたときに青色の光を放出する作用があります。太陽光にあたると、白いものがより白く見えるので、多くの洗濯洗剤に使用されています。この、蛍光増白剤ですが、塗料ですから、当然、汚れ落ちには全く関係がありません。あくまでも、見た目が白く見える=清潔感があるように見える、という効果の為に入れられている成分です。以前は、肌への影響が懸念されていましたが、メーカー各社の工夫によって肌への刺激が少ない蛍光増白剤が開発されてきました。
ただ、問題なのは、蛍光漂白剤が肌にどんな影響があるのかは、まだ不透明ということです。家庭用品品質表示法でも、酵素と蛍光増白剤の表示基準は、他の成分に比べて厳しい基準になっています。バリア機能が未熟な赤ちゃんの肌には、どんな影響があるか分かりませんから、なるべく蛍光漂白剤が入っていない洗剤を選ぶ方がよいでしょう。
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酵素
洗浄力を強化する成分です。洗剤の酵素は、培養された微生物から抽出され、製造されています。酵素には、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼなどの種類があり、それぞれ、たんぱく質分解や、油脂分解、デンプン分解などを促進します。
落としきれなかったミルクの黄ばみなどのタンパク汚れには、プロテアーゼが有効な成分ですが、それだけ刺激の強い成分ともいえます。また、酵素は、30分から1時間ほど漬け置くと、最も効果が高まる性質があります。酵素入り洗剤は、浸け置き時などに上手に利用しましょう。
界面活性剤
界面活性剤というのは、界面の性質を変える物質のことで、汚れを落とす為の成分です。水に油を入れても分離してしまって溶けませんが、ここに界面活性剤を一緒に入れると油と水が混ざり合います。洗剤は、界面活性剤の、この性質を利用して、油分を含んだ汚れを落としているのです。
この界面活性剤の種類には、天然界面活性剤と合成界面活性剤があります。天然界面活性剤を100%使った洗剤は、商品名に「洗剤」ではなく「石けん」と書く事ができます。成分表示には「石けん素地」「純石けん分」と書かれている他に、「脂肪酸ナトリウム」「脂肪酸カリウム」と表記されていることもあります。
石鹸は、安全性が高い界面活性剤とされていますが、溶けにくいという特徴があります。溶け残った洗剤が衣類に残りやすく、石鹸成分が衣類に残ると、肌に悪いだけでなく、衣類が酸化して黄ばみの原因になります。また、洗濯槽に石けんカスが残ると、カビの原因になります。この、洗濯槽のカビは、アトピーなどの皮膚疾患や喘息などを引き起こす恐れがありますから注意しましょう。これらのデメリットを避けるためには、石鹸をよく溶かしてから使用するか、液体石鹸を使う、必要があります。また、洗濯槽のメンテナンスもこまめに行いましょう。
合成界面活性剤は、石けん以外の界面活性剤でできたものです。石油を原料として作られた界面活性剤です。特徴としては、洗浄力が強い、水に溶けやすい、長時間安定した働きをする、などがあります。よい面ばかりに思えますが、洗浄力が強い分、すすぎ残しがあると肌にトラブルを引き起こす可能性があります。
料金
洗濯は毎日のものですから、いくら肌に優しい洗剤でも、消耗品としては値段が高すぎるものだと、困りますよね。高ければよいというものではないので、成分表示をよく読んで、納得できる商品を選びましょう。衣類への残留が一番の問題なので、使用料やすすぎ方法などを守って、洗濯する事が何よりも重要です。この時の、水道料金もポイントで、すすぎの方法や回数も確認して買うといいですね。
おすすめ商品8選
アラウ アラウベビー 洗濯用石けん
洗濯後は柔軟剤を使うことなく衣類をふんわりとした仕上がりにし、買った当初の吸水性も取り戻すことができます。そのため、赤ちゃんの衣類だけでなく、肌の弱い方の肌着を洗濯するときにも使うことができます。
475円
容量
800ml
成分
純石けん分(30%脂肪酸カリウム)、アロエエキス
ミヨシ石鹸 無添加ベビーの肌着洗い石けん
余分な添加剤などを加えていないため、赤ちゃんの肌に優しい、刺激のない石けんです。
446円
容量
800ml
成分
純石けん分(脂肪酸カリウム)、水
次ページ:パックスベビー 洗濯せっけん
パックスベビー 洗濯せっけん
手肌にやさしいマカデミアナッツ油などの植物性油脂を原料にして作られた、パックスベビーの洗濯せっけん。
純石鹸成分が35%と、洗浄成分が高濃度に配合されていますので、洗浄力が高いのが特徴です。
698円
容量
1200ml
成分
純石けん分(35% 脂肪酸カリウム)
無添加お肌のための洗濯用液体せっけん
香料・着色料・防腐剤等が無添加の洗濯用液体せっけんです。
700円
容量
1200ml
成分
脂肪酸カリウム(純せっけん分)、水
メイド・イン・アース 液体せっけん
オーガニックコットン製品のメーカー「メイド・イン・アース」がつくった天然石けんです。
3,024円
容量
1200ml
成分
脂肪酸カリウム(純せっけん分)、純水
さらさ ・さらさベビー
「さらさ」は蛍光剤、漂白剤、着色料が無添加です。
※無添加といっても、石鹸ではなく、石鹸成分配合の合成洗剤です。
石鹸は扱いが難しいけれど、蛍光剤、漂白剤が入った洗剤は避けたい・・・という人におすすめです。さらに洗浄効果を高めるクエン酸や植物由来ケア成分も配合。すすぎが一回でも使用できるので、洗濯時間が短縮されるのも嬉しいポイントです。
409円
容量
850ml
成分
界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステル塩、純せっけん分(脂肪酸ナトリウム)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、LAS)安定化剤、pH調整剤、水軟化剤(クエン酸)、ケア成分(コットンミルク)、酵素
「さらさベビー」は、「さらさ」より安定化剤や防腐剤などが少ない商品です。
898円
容量
500ml
成分
界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸ナトリウム)、水軟化剤(クエン酸)、酵素、安定化剤、分散剤、アルカリ剤、セルロース系成分
赤ちゃんの洗たく用洗剤 ピュア
こちらも、石鹸ではなく、石鹸成分配合、無着色、無香料、無漂白剤、無リン、無蛍光剤の合成洗剤です。
756円
容量
800ml
成分
界面活性剤〔7.6% ポリオキシエチレンアルキルエーテル、純石けん分(脂肪酸カリウム)〕、安定化剤、pH調整剤、金属封鎖剤
〔無着色、無香料、無漂白剤、無リン、無蛍光剤〕
まとめ
いかがでしたか?
赤ちゃんの洗剤を選ぶ時には、「合成界面活性剤」の種類、「蛍光漂白剤」や「酵素」「香料」が配合されているかどうかを確認する事がポイントです。
成分以外のポイントとしては、価格や取り扱いのしやすさ、すすぎ回数などを比較しましょう。
洗濯する時の注意点は、使用量とすすぎです。規定量より多く使っても汚れ落ちが良くなるわけではなく、洗剤のすすぎ残しの原因になります。どんなに肌に優しい成分の洗剤を使っていたとしても、洗浄成分が衣類にたくさん残っていたら、肌にいいわけがありませんよね。
すすぎ残しが、一番の問題ですから、使用量には注意しましょう。特に布地に洗浄成分が残りやすい天然界面活性剤は、気をつけましょう。乳児湿疹などの肌トラブルがある場合は、洗剤の種類を変えるだけでなく、すすぎの回数を増やしたり、使用する量を減らしたりするなどして、洗浄成分が残らないように工夫するのも一案です。
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